1971 年 20 巻 5 号 p. 238-241
ウシ胆汁抽出物 (BBD) にラットのWalker 256腫瘍に対して発育抑制作用を示す物質 (ATF) の含まれていることが実験で判明したので, この物質 (ATF) を末期がん7例に試み治療効果を検討した。 (1) ATF (100mg) に131I-人血清アルブミソ (500μCi) を結合させたものを静注したところ, 腫瘍部に一致して放射能の高まりを認めた。 (2) ATFによる治療例中2例の死亡 (乳がんおよび細網肉腫) があったが細網肉腫には治療中転移巣の一時的な縮小と組織像では核に高度の空胞化とを認めた。横紋筋肉腫一例, 線維肉腫一例は無効, 皮膚がんおよび副腎腫は効果未定であったが, 肺がんでは延命効果をみとめた。