1971 年 20 巻 9 号 p. 438-444
最近開発したポータブルRI線源螢光X線分析計とその鉱工業利用に関する研究について報告する。装置は測定プローブと電子回路部からなり, それぞれの重さは1.7kgおよび7kgである。X線分光法は, 比例計数管によるエネルギー分析を基本とし, 必要なばあいX線フィルターを用いる。現場で用いるときは, 測定元素の特性X線をスイッチの切換えで選択できる構造をもっている。
この装置により合金, 鉱石その他の分析を行なった。鉱石試料の実験では, 元素量1%以上では通常, マトリックス補正なしの一次検量線を使用することができ, 平均濃度1%に対し, 相対誤差10%, 平均濃度15%以上に対し相対誤差3%以内という結果を得た。アルミ合金中のCu, 合金鋼中のV, Zr, Moにおいて, 10ppmオーダーの検出限界を, 水溶液中のMn, ロ紙上のMnにつぎ, 検出限界10ppm, 2.2μg/cm2という結果を得た。