1972 年 21 巻 11 号 p. 635-640
ウランーアルミニウム合金板とウラン金属板を中性子照射したさいに, 試料表面からアルミニウム捕集板へ捕集された核分裂生成物量およびウラン量を, Ge (Li) 検出器を用いたγ線スペクトロメトリーおよび自雲母を検出器として用いたフィッショントラック法で測定した。単位重量あたり存在する235U量に換算した核分裂生成物の放出率はU金属板のほうがU-Al合金板よりもほぼ2.6倍大きい結果を得たが, この値はそれぞれのウラン試料中における既知の核分裂片飛程の比に一致していた。核分裂片あたりに捕集板上に析出したウラン原子数は, (用いた熱中性子フルエンス: 8.42×1016cm-2) U-Al合金板で0.28, U金属板で233の値を得た。U-Al合金板の極端に小さな値から, Alが合金板表面上で, U原子の放出を困難にする役割を果していることが示唆された。