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RI線源螢光X線法による大気汚染の分析
種村 孝吹田 洋
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1972 年 21 巻 11 号 p. 641-647

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抄録

RI線源螢光X線分析法を大気汚染の測定に応用し, ガラスせんいロ紙上に採取したエアロゾルの定性, 定量分析を行なった.使用した装置は, MnKα線に対し分解能198eV (FWHM) のSi (Li) 検出器をそなえたX線分光計で, RI線源は238Pu, 55Feを用いた。
X線スペクトルにより, エアロゾル中に, S, Cl, Ca, Mn, Fe, Ni, Cu, Zn, Br, Pbの存在が認められた。定量の標準として, 既知量の測定元素を含む高分子薄膜を作製し, S, Cl, Fe, Cu, Pbの定量を行なった。中程度の厚さをもつ試料のマトリックス補正に有効な方法として, ロ紙が放射する特性X線を用いる方法を考案し, これをS, ClのKX線強度の補正に応用した。Cu, Pbに関する分析結果を原子吸光法によるCuの分析値, ポーラログラフィによるPbの分析値と比較し, 分析値の差の平均としてCuの濃度0.2-2.0μg/cm2の範囲で0.063μg/cm2, Pbの濃度0.6-6.0μg/cm2の範囲で0.36μg/cm2という値を得た。

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