1972 年 21 巻 5 号 p. 269-275
60Co, 106Ruおよび144Ceなどの放射性核種について, 海水中における時間経過による物理化学形の変化をイオン交換膜を通した電気透析法によって研究した。
60Coは海水中において, 陽イオン種をしめしたが, 時間経過とともに電気的中性種の存在もまたみとめられた。
元の形がクロロ錯体である106Ruは海水中において多数の物理化学形がみとめられ, これらは陰イオン種, 陽イオン種, 電気的中性種およびコロイド状あるいは粒子状で非透析性, 吸着性をしめすものに分類される。そして海水中での時間経過とともに陰荷電形のものは陽荷電形および電気的中性形のものの変化をともないながら徐々に減少した。
144Ceは海中において, はじめ陽イオン種をしめしたが, 時間経過とともに電気的中性種および陰荷電種がつくられ, またコロイド状あるいは粒子状で非透析性, 吸着性をしめすものがみとめられた。