1973 年 22 巻 7 号 p. 331-337
Pb, CsおよびSrの担体を含む6N塩酸で土壌を抽出し, 137Csと90Srを分離し, 残液からPbを硫化物として分離して, 放射化学的に精製した。Bi担体を加え, 放射平衡到達後Biを酸化塩化物として分離し, 放射能測定に供した。この放射能は210Biの放射能であると同定された。したがってこの方法は土壌中の210Pbの放射化学的分析法として役立つものと認められた。この方法を適用してつぎの結果を得た: 210Pbは深さ15cmまでの土層中に大部分分布していた。この分布傾向は90Srと137Csについてもほぼ同様であった。210Pbのリン鉱石中含有量は土壌中含有量よりも高かった。しかしリン鉱石中の210Pbがリン酸肥料の不純物として土壌を汚染するという経路を仮定しても, それが210Pbの地表蓄積に対して重要な寄与をするとは考えられなかった。