周期律第VI族元素のがんおよび臓器親和性

抄録

周期律VI族の9元素中5元素の化合物, すなわちNa₂⁵¹CrO₄, ⁵¹CrCl₃, (NH₄) ₂⁹⁹MoO₄, Na₂¹⁸¹WO₄, Na₂⁷⁵SeO₃, Na₂⁷⁵SeO₄およびH₂^127mTeO₃について吉田肉腫結節をもったラットでその悪性腫瘍および臓器親和性を実験したところ, どの化合物も悪性腫瘍へは強い親和性を示さなかった。同じ元素の化合物でもNa₂⁵¹CrO₄は腎臓に取込みが多く, ⁵¹CrCl₃は血液存在率が大きいなどの差があり, Na₂⁷⁵SeO₃は肝臓への取込みが多いが, Na₂⁷⁵SeO₄は肝臓への取込みがその約半分であった。H₂^127mTeO₃は腎臓への取込みが多いこと, 血中存在値が3時間以後増大することが特徴であった。Na₂¹⁸¹WO₄, (NH₄) ₂⁹⁹MoO₄は静注3時間後にほぼ75%が尿中に排出されており, 臓器組織への残存は非常に少なかった。