周期律第I族元素のがんおよび臓器親和性

抄録

周期律第I族元素中, 7元素 (²²NaCl, ⁴²KCl, ⁸⁶RbCl, ¹³⁴CsCl, ⁶⁴CuCl₂, ^110mAgNO₃, H¹⁹⁸AuCl₄) について, 吉田肉腫結節をもったラットを使用して, その悪性腫瘍および臓器親和性を実験した。その結果は, ^110mAgNO₃は比較的強い悪性腫瘍親和性を示した。しかし, それ以外の元素はいずれも悪性腫瘍に強い親和性を示さなかった。
各元素の臓器分布については, 化学的性質のよく類似している²²NaClと⁴²KClが非常に相違し, ⁴²KClはむしろ⁸⁶RbCl, ¹³⁴CsClに類似していた。ことに⁸⁶RbClと¹³⁴CsClは比較的よく類似していた。またこれら元素 (⁶⁴Cuを除く) の静注3時間後までの尿中排出率は¹³⁴Csが4.4%, ⁴²Kが2.0%であり, その他はいずれも1%以下であり, 少なかった。