RADIOISOTOPES
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14C標識Oxolinic acidの生体内運命に関する研究 (第2報)1),2)
各種動物における14C-Oxolinic acidの全身オートラジオグラフィ的分布
大塚 峯三内藤 一秋佐藤 善重
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1976 年 25 巻 4 号 p. 215-221

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抄録

新合成抗菌剤14C-oxolinic acidのマウス, ラット, ウズラおよびウナギにおける生体内分布とその推移を全身オートラジオグラフィによって検討した。
マウスに14C-oxolinic acidを20mg/kgの割合で経口投与したとき, 消化管からかなり良く吸収され, ほとんど全身に移行した。投与後30~60分において, 最も高い放射能濃度を示したのは, 肝臓, 腎臓, 心筋, 骨および褐色脂肪であり, 一方中程度の濃度は血液, 骨格筋, 副腎および脳下垂体に見られ, 中枢神経系および睾丸は最も低い濃度を示した。投与後60分における胎児内各組織中濃度は母体の胎盤の濃度とほぼ同程度であり, 時間の経過とともに減少した。胎児内組織のうち, 骨に高い放射能が認められた。また, 投与48時間後には, マウス体内の放射能はほとんど完全に消失した。
ラットにおける分布様式もまたマウスのそれに類似した。しかし, 褐色脂肪への取り込みは, マウスのそれに比しかなり少なかった。ウズラでは, その分布はマウスおよびラットのそれに類似した。本化合物はまたウズラのメラニン含有組織である眼, 皮膚, 毛包に取り込まれた, しかし成熟卵胞への取り込みはきわめて少なかった。ウナギでは吸収, 排泄の緩慢であることを示すARGMが見られた。

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