1977 年 26 巻 9 号 p. 630-635
安定同位体トレーサー法をアミノ酸代謝研究に導入する目的で, まず重水素標識L-フェニルアラニンを合成した。ベンズアルデヒド〔芳香環-d5〕を原料とし, アセチルグリシン縮合, 接触還元, アミノアシラーゼによるラセミ分割を経て, D-およびL-フェニルアラニン〔芳香環-d5〕をそれぞれ収率約18%で得た。ついで本品をGC-MSで測定するために, このエナミソメチルエステルを調製し, この重水素標識体と非標識体との間のMS.およびGCにおける同位体効果をしらべた。MSにおいては開裂彩式において同位体効果はなく, GCにおいては保持時間が標識体のほうが短いことが明らかとなった。