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99mTc-2-Mercaptopropionylglycine: 胆管移行とその動物による違いについて
佐治 英郎横山 陽田中 久小鳥 輝男森田 陸司鳥塚 莞爾
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1979 年 28 巻 3 号 p. 145-150

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抄録

99mTc-2-mercaptopropionylglycine (99mTc-2-MPG) の肝胆移行性について調べ, 肝胆移行しやすい99mTcの配位状態およびこの化合物の肝胆道系診断薬としての可能性と問題点について検討した。
その結果, この99mTc-2-MPGは, マウスおよびラットでは速くかつ高い (ラットにおいて, 投与後1時間内に51%) 胆汁への移行性を示した。一方, penicillamineとの交換反応の結果から, この化合物は低分子量の99mTc加水分解錯体, おそらくは2核体の99mTcをもつことが推定され, この99mTcの配位状態がこのような胆汁排泄挙動に関係する1つの大きな因子であると考えられた。しかし, この99mTc-2-MPGは, ラビットでは肝および腎への比較的高い貯留があり, 体内挙動に動物の種差があることが認められた。この原因の1つとして, 99mTc-2-MPGは化学的に不安定であるため, 希釈に対して影響を受けやすく, この性質が体内とくに血液中での希釈率が高くなる大きな動物の場合に反映され, 血液や各臓器内で分解されやすくなるためと推定された。
このように, 99mTc-2-MPGは, 肝胆移行しやすい99mTcの配位状態をもつ一方で, 大きな動物の体内での不安定さが指摘された。

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