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希硝酸溶液中におけるトリニトラトニトロシルルテニウムの挙動
杉本 仙市
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1979 年 28 巻 7 号 p. 425-430

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抄録

放射性廃棄物中に含まれている106Ruニトラトニトロシル錯体は, 水で希釈されるとプロトン解離を起こし解離生成物は縮合してポリマーを生成する。プロトン解離が開始されるときの上限硝酸濃度を調べるため, トリニトラトニトロシル錯体を各種硝酸濃度の硝酸溶液中に溶かし, 経時的に未解離錯体とモル吸光度の変化を測定した。未解離錯体はTBP抽出法を用いて測定し, プロトン鱗を示す2次反応の図形 (1/a-x~t) , ならびに反応速度から1次反応と比較して, プロトン解離開始の硝酸濃度は0.15Mもしくは0.15~0.20Mと推定した。ニトラト錯体ならびに解離生成物がそれぞれの波長で示す吸光特性から, 以上の推定を光学的に証明することができた。またプロトン解離が起きるとその解離生成物の吸光特性が380nm付近にみられたが, これがRuIVポリマーであるかどうかについては明らかにできなかった。

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