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原子炉出力計とマイクロコンピュータを用いた放射化分析における生成放射能の新しい補正方法
平井 昭司吉野 やよい鈴木 章悟堀内 則量
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1982 年 31 巻 5 号 p. 229-234

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抄録

短寿命核種の放射化分析において, 中性子線束および照射時間を正確に把握することは, 分析化学上重要な要因の一つである。気送管操作によるカプセルの挿入・取り出し時に原子炉出力の変化が現れることに注目して, 原子炉出力検出器からの信号を分岐し, V-F (voltage to frequency) コンバータで中性子線束の変化を計測し, また, カウンタで照射時間を測定するシステムを製作した。本システムを動作させ得られる生成放射能と実際の試料 (銅, セレン) を放射化させγ線測定した結果とを比較して, 原子炉出力の変化から生成放射能を評価する方法の有用性について検討を行った。実験例の結果, 照射時間が約10%, 中性子線束は2~3%変動し, かつ計測中に大きな放射能の減衰が起こっても, ±2~3%の誤差内で生成放射能を正確に得ることができた。なお, このうち約±1%は試料を検出器上に設置するさいの誤差であった。以上により, 本システムの導入の有用性が判明した。

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