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α線スペクトロメトリによる降雪中の210Pbと210Poの定量
橋本 哲夫増村 修司小松 繁美外林 武
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1982 年 31 巻 9 号 p. 453-458

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抄録

降雪中の210Pbと210Poの含量と相互関係をα線スペクトロメトリで調べた。5lの雪融解水から, AIPO4共沈法により両核種を捕集し, TBP (リン酸トリブチル) 溶媒抽出による化学分離で精製した210PoをNi板に自発析出させ, これをα線源とし, シリコン半導体検出器を用いてスペクトル測定した。最初の210Poの測定後, 分離されたPb画分を約3か月以上放置して成長してきた210Poを再度測定し, 210Pb含量を見積ることができた。分析操作において, Pbの捕集率測定のために, 212Pbトレーサを, またPoの全収率測定のためにBiのプロトン照射で調製した208Poをトレーサとして用いた。数種の降雪試料から, 210Poとして3~30mBq/l (81~810fCi/l) が, また210Pbとして250~720mBq/l (6.8~19.5pCi/l) が得られ, 両者の関係から210Pbの大気中での滞留時間として, 6~12日の値が得られた。

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