RADIOISOTOPES
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急性肝炎およびB型慢性肝疾患におけるIgM型HBc抗体の意義
楠本 征夫後藤 誠田島 平一郎中田 恵輔古河 隆二佐藤 彬川原 健治郎石井 伸子棟久 龍夫小路 敏彦長瀧 重信
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1984 年 33 巻 10 号 p. 686-690

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抄録

ウイルス性急性肝炎とB型慢性肝疾患についてラジオイムノアッセイ (RIA) およびenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) でIgM型HBc抗体を測定した。B型急性肝炎15例中14例はIgM型HBc抗体陽性であり, その抗体価は高かった。A型急性肝炎4例中1例と非A非B型肝炎13例中2例でIgM型HBc抗体陽性であったが, この3例はすべて発病初期からHBs抗体陽性で, HBウイルスの初感染と判定することはできなかった。B型慢性肝疾患37例中, RIAでは21例 (57%) ELISAでは11例 (30%) に経過中IgM型HBc抗体陽性が認められた。RIAとELISA両法を比較するとRIA陽性でELISA陰性の例が多く見られた。
以上より, 適当なカットオフ値を設定することにより, IgM型HBc抗体でB型急性肝炎の初期診断が可能であることが分かったが, 少数例ながら矛盾する成績を示す例もあり, 今後いっそうの検討が必要である。

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