1984 年 33 巻 6 号 p. 343-349
宇宙線μ中間子による屋内被曝のコンピュータ数値実験を始めるにあたり, いろいろな物理パラメータの値を決めた。既知の情報を集約するとともに未知のものを新たに計算で求めた。実際的なモデル作りをするうえで立てた仮定や近似もここに記述した。標準コンクリートおよび空気に対するμ中間子の阻止能と飛程は数百GeVまでのエネルギーについて計算された。その結果と既製の数表との比較は低エネルギー部分でのみ可能であるが, そこではよい一致をみせた。宇宙線μ中間子が建物内部で受ける散乱効果はごく簡単なモデル計算によって数値的に調べられたが, きわめて小さい変動を問題にするのでなければその全体としての影響は無視し得るものであることが分かった。また鉄筋コンクリートに含まれる鉄分やコンクリートの密度といった要因も大した影響のないものであることが分かった。