⁵⁹Feおよび¹⁹⁵Auの塩素錯陰イオンの巨大網状構造樹脂への吸着

抄録

⁵⁹Feおよび¹⁹⁵Auのクロロ錯陰イオンのXAD樹脂への吸着挙動について検討した。塩酸あるいは塩化リチウム溶液中の⁵⁹Feは6M以上で, ¹⁹⁵Auは広い濃度範囲にわたって高い分配係数を示す。硝酸溶液の場合は⁵⁹Feがまったく吸着されないのに対し, ¹⁹⁵Auは広い濃度範囲にわたり高い吸着率を示した。
一方, ⁵⁴Mn, ⁶⁰Co, ⁶⁵Zn, ⁹⁰Sr, ¹⁰⁶Ru, ¹³⁷Csなどの放射性核種は, 濃塩化物イオン溶液からXADにはほとんど吸着されない。この鉄の特異な吸着現象を利用して海水中の放射性鉄および安定鉄の分離定量を試みた。