1985 年 34 巻 9 号 p. 480-485
ブチロフェノン系抗分裂症薬であるスピペロンは, ドーパミンレセプタの結合を研究するうえでよく用いられている。ロングストロームらは, 新しくN-メチルスピペロンを合成し, ワーグナーらと共同で人間の脳のドーパミンレセプタ分布を生体で観察することを可能にした。われわれは独自にこの物質の合成を行い, 無水系にて相間移動触媒を使用する方法を見出した。生成物の分離は反応液をミリポアフィルタに通し, 高速液体クロマトグラフィに注入した。合成時間は11CH3I合成終了時より20分で, 放射化学的収率は35%である。