心筋SPECT短軸断層像と心臓病理所見とを対比検討した。対象は剖検例中, 心筋SPECTを施行された10例で, 心筋梗塞6例, 弁膜症3例, 正常1例である。梗塞例における心筋SPECT所見では, 前壁中隔3件, 前側壁1件, 後壁3件, 計7件に欠損像を認めた。病理所見では, 塊状大型貫壁性前壁中隔梗塞2件, 塊状大型貫壁性後壁梗塞1件, 塊状中型貫壁性後壁梗塞1件, 塊状大型非貫壁性前壁中隔梗塞2件, 散布状大型非貫壁性前側壁梗塞1件であり, 偽陽性2件, 偽陰性1件であった。心筋SPECTと剖検心の病変の範囲を検討した結果, 有病正診率78.1%, 無病正診率96.0%, 総合正診率91.6%であり, 偽陰性は心基部前壁側に高く, 偽陽性は後壁とくに心基部側であった。
