RADIOISOTOPES
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Kuzinのラジオトキシン説 (II) ―その生物学的作用
佐藤 満彦
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1992 年 41 巻 3 号 p. 161-166

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抄録

以上述べたKuzinのradiotoxinは, 彼自身の言葉で要約すると, つぎのような性質をもった物質となる。
(1) RTの化学的実体はキノン類, おそらくはセミキノンであろう。
(2) 放射線類似作用物質の性質をもつ。
(3) 発生の過程に対して, その量に応じて促進的にも阻害的にも作用しうる。
(4) 放射線との相乗効果によって, ごく少量でも著しく増幅された損傷をもたらし得る。この相乗効果は, 放射線が直接ゲノムに対して作用を及ぼすには至らないような, 小線量領域でより顕著に現れる。
(5) その作用のtargetは生体膜と考えられる。
(6) 放射線のもつエネルギーを化学的エネルギーに変えて運搬するキャリヤである。

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