1992 年 41 巻 9 号 p. 444-450
愛知県における環境水中のトリチウム濃度を1973年から1989年まで継続して測定した。環境水中トリチウム濃度は, 大気圏核実験の影響を受けつつ減少し, 近年はこれまでに推測されていた天然水中のレベルを下回るようになってきた。しかし, 河川水中トリチウム濃度は現在も雨水より高い。測定を行った3河川中では, 時系列解析によって雨水の直接的影響を受け難い河川が木曽川であること, 逆に受け易い河川が矢作川であることがわかった。雨水の見かけの地下滞留時間は, 木曽川で4.9年, 矢作川で3.6年, 豊川で2.0年と推測された。