1994 年 43 巻 11 号 p. 655-664
放射線照射を受けた原子炉炉内構造物と原子炉冷却水の放射線分解で生成した水素および原子炉冷却水に注入した水素との共存性をトリチウムトレーサ技術を利用した試験で明らかにした。ニッケルイオンを照射したFe-Cr-Ni合金に乳剤膜を貼り, 合金組織に捕獲されたトリチゥムのβ線でAgクラスターを生成させ, エネルギー分散型分析器 (EDX) と電子顕微鏡でAgクラスターの確認とトリチウムの挙動を調べた。その結果, ニッケルイオンを照射したFe-Cr-Ni合金の結晶粒界, ボイド, 双晶およびすべり帯に水素が捕獲されることを明らかにした。