1994 年 43 巻 7 号 p. 389-396
自然環境の通気層中に生じる不連続な水の流れの条件下における85Srの移行挙動を明らかにするため, 85Srで汚染させた砂質土壌層へ脱イオン水を断続的に流下するカラム移行実験を行った。
流れの停止回数が増すに従って, 陽イオン性85Srの土壌層中移行速度は増大する傾向を示した。この原因は, 土壌から間隙水中へ溶出するCa2+の濃度が流れの停止期間に増加することにより, 85Srの分配係数が減少するためであるとみなされた。土壌層流出液のCa2+濃度から推定した85Srの分配係数と土壌層における85Srの移行速度から得た分配係数とは, 流れの停止回数に伴う減少傾向がよく一致した。