1994 年 43 巻 8 号 p. 457-461
N-isopropyl-p- [123I] iodoamphetamine (123I-IMP) の肺からの排泄をdynamic studyにより解析することにより, 喫煙, 加齢の肺に及ぼす影響について検討した。対象は喫煙者14名, 非喫煙者10名, 計24名である。対象者は全員呼吸器疾患の現病歴, 既往歴を有さない。ガンマカメラを用いて123I-IMP静注後42分間にわたってデータを収集し, 得られたデータより作られたtime activity curveを2コンパートメント解析し, 静注10分後のwashoutのslow phaseにおける排泄率を中心に検討を行った。
その結果, 非喫煙者は喫煙者に比して排泄率が高く, 有意な差を認めた。非喫煙者においては排泄率と年齢の間に負の相関を認め, 年齢が高いほど排泄が遅延する傾向があった。非喫煙者群において得られた年齢と排泄率の回帰直線式を喫煙者群に当てはめ, 年齢による差を補正したところ, 年齢補正をしても両群間に排泄率の有意な差を認めた。以上のことにより123I-IMPの肺からの排泄は, 年齢と喫煙が影響を与えていることが示唆された。