1995 年 44 巻 8 号 p. 514-522
186Re標識1-hydroxyethylidene-1, 1-diphosphonate (HEDP) は癌性疼痛緩和に有効と報告されている。日本原子力研究所が186Reの試験製造を開始したことから, HEDPの186Re標識条件, 186Re-HEDPのマウス体内挙動を検討した。種々の標識パラメータの探求から, 副作用が問題となる以下のHEDP量で疼痛緩和に必要な放射能量の186Re-HEDPを高い放射化学的収率で与えるキットを開発した。本キットで作製した186Re-HEDPは99mTc-HEDP, 99mTc-HMDPと同等の骨集積を示し, 従来の報告にある186Re-HEDPと同程度の疼痛緩和効果が本薬剤の投与で期待される。一方, 従来同様に生体内における186Re-HEDPの分解が観察され, Reの化学的性質を考慮した新たな配位子の開発が要望される。