RADIOISOTOPES
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小型ラドンデータロガーの開発
田阪 茂樹佐々木 嘉三
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1996 年 45 巻 12 号 p. 741-752

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抄録

大気中のラドン濃度とラドン娘核種の挙動を測定するために, 小型のデータロガーと静電捕集型ラドン検出器を組み合わせた測定システムを開発した。検出器の特徴は, ラドンの娘核種が正イオン化している性質を利用して, ピンフォトダイオード (PD) の表面に集めて, 壊変によって放出されるα線のエネルギーを弁別するところにある。データロガーはあらかじめ設定された適切なα線のエネルギー領域と測定時間間隔に従って, 信号パルス波高を自動的に処理し, 218Poと214Poの計数値, ラドン濃度を測定日時とともに表示し, 記録する。車搭載用鉛蓄電池を接続すれば, 商用電源がない屋外でも30分間隔で約30日間のラドン濃度の連続観測が可能となる。また本ラドン検出器の収納容器に除湿剤のP2O5を入れることにより, さらに信頼性のあるラドン濃度が得られる。このデータロガーを用いて, 神岡鉱山のスーパーカミオカンデのドーム内の空気中ラドン濃度を測定した。1996年1月30日から2月8日の10日間の平均ラドン濃度は (46±13) Bq/m3であることがわかった。

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