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動態モデルを用いた99mTc-ジメルカプトコハク酸による腎摂取率測定におけるバックグラウンドと腎深さ補正の省略
村瀬 研也棚田 修二浜本 研
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1996 年 45 巻 8 号 p. 491-499

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抄録

99mTC-ジメルカプトコハク酸 (DMSA) を用いた腎摂取率の測定は, DMSA投与後数時間の待ち時間および正確なバックグラウンドや腎の深さの補正を必要とする。われわれは動態解析法を用いて, それらの補正を必要とせず, 20分間の測定データから腎摂取率を予測する方法を開発した。われわれの方法は, DMSAの腎から血液 (k1) , 血液から腎への移行 (k2) および腎による摂取 (k3) の三つの速度定数をもっ動態モデルから成る。さらに, 血液プールの影響も考慮した。正味の腎摂取率 (K) をK=k1×k3/ (k2+k3) から算出した。バックグラウンドおよび腎の深さ補正を行わずに得たK値は, DMSA投与2時間後に測定した腎摂取率と良好な相関 (r=0.918, n=120) を示し, またバックグラウンドおよび腎の深さ補正を行って得たK値との間にも良好な相関 (r=0.989および0.982) が得られた。本法は腎の皮質機能を定量化するための有用な方法と考えられる。

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