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252Cf中性子・γ線同時利用による高炉内部の状態計測方法
白川 芳幸富永 洋
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1997 年 46 巻 11 号 p. 793-803

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抄録

本論文では, 高炉のより正確で安定な制御の要求を満足する多機能な放射線ゲージの実現可能性について述べる。このゲージの基本的考え方は, 中性子およびγ線という複数の放射線を同時に利用し, 高炉内部の状態を代表する原料の流れ, ガスの流れなどに関する複数の種類の情報を得ることである。
252Cf線源 (3.7MBq) , 中性子減速材, 鉛遮蔽, BGO検出器, ステンレスケーシング, および制御装置よりなる試作機が組み立てられ, 試験された。実験室での試験結果より, 本ゲージは高炉内部の状態を評価するために必須の諸量を計測することが可能であることがわかった。具体的には, 鉄からの6.5-8.5MeVの熱中性子捕獲γ線を計数することによって, 鉄鉱石層とコークス層が明確に識別でき, 同時に, 鉄鉱石中の鉄分かさ密度 (1.0-1.5g/cm3) が計測できた。また, 原料, すなわち, 鉄鉱石, コークスからの1.0-1.5MeVのコンプトン散乱γ線を計数することによって, 原料のかさ密度 (0.5-2.5g/cm3) の情報が得られた。鉄分かさ密度および原料かさ密度計測の相対精度は, 300sの計数時間で, それぞれ, 1%および4%以内であった。
これによって, 本ゲージの実現可能性が確認され, オンラインでの適用試験が期待される。

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