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機能性高分子中における官能基の反応性 (T-for-H交換反応の利用)
今泉 洋長谷川 忍
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1997 年 46 巻 11 号 p. 804-811

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抄録

機能性高分子中の官能基の反応性を明らかにすることを目的として, (1) アニリンの0.500mol・1-1p-キシレン溶液と各種トリチウム (T) 標識機能性高分子との間の水素同位体交換反応を, (2) 種々の条件下において, 各種機能性高分子のT標識化合物が大気中でTを散逸する様子を, それぞれ観測した。その結果, 次の六つが定量的に明らかとなった。 (1) T標識された各種高分子とアニリンとの間でT-for-H交換反応が起こり, 50-90℃では, 他の化学反応よりも優位に起こる。 (2) これら高分子中の官能基の反応性は, その母体構造に強く影響される。 (3) これらT標識高分子表面からのTの散逸の程度は, 湿度にあまり依存しない。 (4) 温度が高くなるにつれ, これら高分子の表面からのTの散逸の程度は大きくなる。 (5) 同一温度での散逸の程度は, 同じ官能基を持っていても, その物理的状態に強く影響され, ガラス性のものの場合は多孔性のものの場合よりも散逸しにくい。 (6) 重合度が高いと, そのT標識高分子表面からのTの散逸の程度は小さい。

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