RADIOISOTOPES
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コリメートしないγ線のコンプトン散乱を利用したレベル計測方法
白川 芳幸清水 義弘堀越 清美天野 豁
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1997 年 46 巻 6 号 p. 336-342

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抄録

レベル計測のためにコリメートされていないγ線のコンプトン散乱を利用した計算モデルを開発し, 計算機シミュレーションによって評価を行った。
線源と検出器を計測対象物に対して同じ側に配置する。この幾何学的条件では散乱γ線の発生量は線源から対象物を見込んだ立体角Ωに比例する。ここで計測対象物内の散乱γ線の発生領域の上面に一つの仮想的な実効中心を考える。散乱γ線の検出量はこの実効中心から検出器を見込んだ立体角θに比例する。したがって散乱γ線の検出量は上記の立体角Ωとθの関数となる。これらの立体角はレベル, すなわち線源と対象物との距離, 実効中心と検出器との距離を変数として含むので, 散乱γ線の検出量が与えられればレベル計算を実行することができる。
計算機シミュレーションの結果の一例を示すと, 計測対象物の密度が1.00g/cm3, 線源-検出器間距20cmのとき, 10-100cmのレベルに対してモデルと計算機シミュレーションの結果との相対誤差は0.7%未満であった。このことより提案したモデルを使用してのレベル計測は可能といえる。

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