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北海道の環境水中のトリチウム濃度およびδD, δ18Oの高度効果の推定値について
池田 光良高田 茂松枝 大治
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1998 年 47 巻 11 号 p. 812-823

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抄録

3H, δD, δ18Oは水文学上, 重要な環境トレーサであるが, 北海道では過去の降水の3H濃度や安定同位体比の高度効果のデータがほとんどなく, これらを用いた水文学的調査が困難であった。このためワイン中の3H濃度から過去の降水の3H濃度の推定を試みた結果, 北海道の3H濃度は東京・筑波の値よりも高かったことが判明した。また, 降水の3H濃度の広域的分布や経年変化ともおおむね対応しており, ワイン生産時の蒸発等の影響で若干過大であることは考えられるものの, 水の年代の近似値を得ることは可能と判断された。また, 安定同位体比の高度効果は大雪山系等のデータから中部地方や東北地方での値よりやや小さく, δD: -1.75±0.30‰/100m, δ18O: -0.24±0.01‰/100mと求められた。この値は十勝平野の河川水や浅層地下水から推定した値ともほぼ一致した。以上からこれらのデータを道内の水文学的考察に用いることは可能と考えられる。

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