1999 年 48 巻 3 号 p. 177-187
Triple Energy Window (TEW) 処理機能を持たない3検出器型SPECT装置において散乱補正を行う方法 (Modified-TEW法, 以下M-TEW法) を考案し, その有効性をファントム実験により検討した。また, 本法を99mTcと201T1の2核種同時収集法に応用する可能性を基礎的に検討し, 負荷心筋シンチに使用した。
201Tl, 99mTcにおけるサブウインドウのデータの固有均一性を測定した結果, エネルギーウインドウ幅は5keV近傍が最適であった。2核種同時収集法では201Tlから99mTcウインドウに2.8-19.7%, 99mTcから201Tlウインドウに4.7-31.8%のクロストークがみられたが, M-TEW法を用いて散乱補正を行うことで99mTcウインドウでは20.9-32.4%が, 201Tlウインドウでは43.9-62.4%が散乱成分として除去された。
臨床例で201Tlと99mTcテトロフォスミンによる2核種同時収集法による心筋シンチを施行する際, M-TEW法を用いて散乱補正を行うことにより, 散乱補正を行わない場合と比較して診断能が向上した。
M-TEW法は, TEW処理機能のない3検出器型SPECT装置においてもTEW法が応用可能であり, 2核種同時収集心筋SPECTを行う際にクロストーク, 散乱線除去法として有用な方法と考えられた。