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冠動脈内放射線療法
藤田 英雄中村 文隆
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1999 年 48 巻 6 号 p. 431-432

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抄録

虚血性心疾患は冠動脈に硬化が生じ惹起されるさまざまな病態であるが, 狭窄・閉塞部位をバルーンで機械的に拡張する経皮経管冠動脈形成術 (peraitaneous transluminal coronary angioplasty, PTCA) は20年来大きな役割を果たし発展してきた。しかし, 一度拡張を行った部位に数か月後30-60%の症例で起きる再狭窄という問題が大きな限界となっていた。これに対し筒状・網状のステントという金属を植え込んで血管内腔を確保する技術で20-30%程度に再狭窄率を減少させることが明らかにされてきたが, ステント部位にも再狭窄が生じ, さらに問題が複雑化すること (ステント内再狭窄in-stent restenosis) も指摘されてきた。それらの問題の克服のためこれまでにさまざま方法が模索されてきている。刃付きバルーンなど新たなメカニカルなアプローチ, 薬物療法, さらに遺伝子治療などが試みられているがそれぞれ十分な効果をあげている, あるいはあげうると言い難いのが現状である。そこで細胞増殖抑制効果のためケロイド治療などに治療効果が確立されている放射線照射療法を冠動脈治療に応用する試みが欧米でなされ, 臨床試験の成積も発表されその有用性への期待が高まっている。

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