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パッシブ型ラドン測定器のトロンに対する応答特性
床次 眞司真田 哲也米原 英典古川 雅英山田 裕司黒澤 龍平
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2000 年 49 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

トロンによるパッシブ型ラドン測定器の測定値への影響を調べるため, トロン曝露チェンバシステムを整備した。そのシステムは主として曝露チェンバとトロンガス発生装置で構成される。曝露チェンバには150Lのステンレス製密封容器を, 発生装置には10Lのステンレス製密封容器をそれぞれ改造して用いた。曝露チェンバには4本のステンレス製チューブが取り付けられ, ガスの供給と排出, 試料空気の採取に利用される。発生装置内には, 細かく砕かれたトリウムの豊富なセラミックが封入されている。トロンガス曝露のために, 曝露チェンバと発生装置をインライン型フィルタホルダ, 流量計, ポンプを介して接続し, 内部空気を循環させる方式を採用した。トロンとラドン濃度はシンチレーションセルによって迅速に採取された後測定される。
2種類のパッシブ型ラドン測定器がそのトロンチェンバシステムで試験された。それらはトロン濃度の高い雰囲気場で4日間曝露された。曝露期間中のトロン濃度とラドン濃度の平均値は, それぞれ2529, 230Bq/m3であった。一つの測定器はラドン濃度として2913Bq/m3, もう一つは1922Bq/m3を示し, ラドン濃度が過大に評価された。多くの場合, トロンの存在は無視することができると考えられているが, 実際に測定器を使用する前に, ラドン測定器のトロンに対する応答を調べ, その動作特性を把握することは重要である。

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