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放射線加工レベル60Coγ線高線量率校正用電離箱システム
小嶋 拓治橘 宏行羽田 徳之金子 広久春山 保幸田中 隆一
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2001 年 50 巻 7 号 p. 291-300

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抄録

現在, 医療用具の滅菌等放射線加工処理では, 広い照射場が得られるように60Coγ線板状線源を用い100-10000Gy/h程度の線量率を利用している。こうしたパノラミックな (コリメートされていない) 照射場の特性や線量率範囲は, 点線源を用いたコリメートされた比較的低い線量率の照射場をもつ現在の線量標準機関と異なっていることから, この分野における線量トレーサビリティをもたせることは容易でない。そこで, 日本原子力研究所 (原研) では, 国家標準である経済産業省産業技術総合研究所 (産総研) における線量率範囲も含み広い範囲5-20000Gy/hをカバーする60Coγ線照射場を二つの大線量用線源を用いて構築し, この照射場において平行平板型電離箱システムに基づく大線量校正技術を開発した。原研での線量校正が産総研とトレーサビリティをもつことを技術的に明らかにするため, 線量率範囲10-100Gy/hオーダーの産総研で与えられた電離箱の校正結果, すなわち電流から照射線量率への換算係数は, 照射場の特性のちがいに関わる補正をせず, 高線量率5-20000Gy/hにおいても有効であることを示した。また, 不確かさ2.2% (95%信頼度相当) で線量0.5-160000Gyを校正できることを明らかにした。

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