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蓄積放射線線量評価を目指した天然石英粒子からのルミネッセンス測定
橋本 哲夫中川 貴博森本 隆夫植頭 康裕高野 雅人
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2002 年 51 巻 1 号 p. 10-18

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抄録

石英粒子からの放射線誘起ルミネッセンスである, 熱ルミネッセンス (TL) と光励起 (または刺激) ルミネッセンス (OSL) から, 残留している蓄積天然放射線線量を評価した。新潟地域の砂丘砂から分離した石英粒子試料からは例外なく赤色TL (RTL) 特性を有していることを確認できたので, このRTLと高輝度青色発光ダイオード (BLEDで470nmに発光ピークを有する) 光励起で観察される, 400nmから300nm波長域のOSL測定により蓄積線量を求めることとした。ルミネッセンス測定は, 小型X線発生器を備えたルミネッセンス (OSL/TL) 自動測定システムを使用し, 単分画 (single aliquot) 法を適用した。その結果, RTL測定により, 柏崎・刈羽地区ではほぼ250Gy, 阿賀野川河口付近ではほぼ450Gyの値が天然蓄積線量として評価できた。一方, OSL測定からは有意の線量評価は不可能であった。鉱物からの残留蓄積放射線の測定は, 地質・考古学や原子力・放射線関連施設周辺の環境放射線のバックグラウンド調査としても重要であろう。

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