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脳生切片へのコリンの取り込み及びアセチルコリンの放出に対する無酸素処理の影響: [11C] コリン-バイオラジオグラフィー法を用いた研究
佐々木 徹船木 善仁小豆島 正典寺崎 一典
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2003 年 52 巻 12 号 p. 677-685

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抄録

脳虚血時におけるアセチルコリン (Ach) の合成及び放出の分子機構を解明することを目的として, 無酸素下のラット脳生切片のAch及び糖代謝を [11C] コリンー, [18F] FDG-バイオラジオグラフィー法を用いて検討した。 [11C] コリンの脳切片への集積及び切片からのAchの放出は無酸素処理によって低下した。一方, FDGの脳切片への集積は同処理によって逆に増加した。無酸素処理で低下した線条体の [11C] コリンの取り込みは, アセチル-L-カルニチン (ALCAR) の処理によってコントロールレベルまで回復した。一方, 大脳皮質ではALCARの処理による効果は認められなかった。無酸素下のコリン取り込みの低下は, エネルギー依存性のコリン取り込み系がミトコンドリアにおけるATP産生系の阻害によって低下したことが一因と考えられた。この低下はミトコンドリア代謝の賦活剤によって改善することが示唆された。

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