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γ線と重金属がオオミジンコDaphnia magnaの遊泳に与える影響の比較評価
府馬 正一石井 伸昌田中 伸幸武田 洋宮本 霧子柳澤 啓齊藤 眞弘一政 祐輔
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2003 年 52 巻 7 号 p. 319-326

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抄録

化学物質の生態毒性評価のために一般的に用いられているOECD試験法に従って, オオミジンコDaphnia magnaの遊泳に対するγ線と重金属の影響を比較評価した。γ線照射24時間後の50%影響線量 (ED50/24h) は1600Gyだった。24時間曝露後の50%影響濃度 (EC50/24h) は, マンガンで990μM, ニッケルで180μM, 銅で3.3μMであった。したがって, ED50/24h/EC50/24hで算出されるGy等価係数は, マンガンで1.6, ニッケルで8.9, 銅で480となった。この結果より, これら金属のD.magnaに対する毒性強度はマンガン<ニッケル<銅の順と考えられる。この毒性強度の順序は, 3種の微生物から構成されるモデル実験生態系 (マイクロコズム) を使って以前に評価した結果と同様の傾向を示したが, 両者の順序には注目すべき違いも見られた。したがって, 有害因子の生態毒性を順位付けする際には様々な生態毒性試験の結果を総合的に評価する必要性が示唆された。

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