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ヒト培養癌細胞の分裂過程における11C-methionineの集積量
小豆島 正典堤 玲子佐藤 成大寺崎 一典泉澤 充佐藤 仁東海林 理坂巻 公男
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2003 年 52 巻 9 号 p. 456-463

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抄録

L- [methyl-11C] methionine (Met) は, 腫瘍細胞の増殖が盛んな時期に, より多く取り込まれることが報告されている。この成績は, Met集積が, 細胞周期依存性であることを示唆している。本研究は, ヒト培養癌細胞の細胞周期とMet集積との関連性を明らかにし, Met PETを読影するための基礎的知見を得ることを目的に行った。thymidineのダブルブロッキング法により, HeLa S3の細胞同調処理を行い, 各ステージに同調させた細胞とMet集積との関連性を調べた。その結果, Met集積は, 同調処理終了直後から次第に上昇し, G2/M期の初期にピークに達した。その後, Met集積は, G2/M期の後期にかけ急峻に低下し, G1期にはピーク時の44%となった。以上の成績から, Metは, S期からG2/M期にかけ集積量が増大することが示された。またMetを用いたPETでは, 腫瘍細胞の分裂指数が反映された画像が得られていると思われ, 進展の速い悪性腫瘍ほどMet集積が高いことが予想された。

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