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紙類に含まれる放射能―天然放射性核種の濃度と源―
小橋 浅哉
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2005 年 54 巻 10 号 p. 427-435

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抄録

紙類に含まれる放射能のレベルを知るため, 我が国で製造された雑誌, 新聞, コピー用紙等の紙類について天然放射性核種 (226Ra, 228Ra, 228Th及び40K) の放射能をγ線スペクトロメトリにより定量した。また, それらの放射性核種の源を明らかにするため, 試料のX線回折測定を行った。文庫本の226Ra, 228Ra, 228Th, 40Kの平均含有量は, それぞれ6.4, 21.5, 23.7, 18.8Bqkg-1であった。他の種類の試料については, それらの核種の含有量は, 文庫本並みかそれ以下であった。228Thの濃度は, 228Raの濃度よりいくぶん高かった。紙類の製造過程において原料から228Raが228Thより優先的に水に溶出したのであろう。天然放射性核種の濃度は互いに相関していた。X線回折測定の結果は, 試料にはカオリナイト, 滑石及び方解石が含まれることを示した。試料のカオリナイト含有量は, 天然放射性核種の濃度と相関があり, このことは, 紙類に含まれている天然放射性核種の大部分は, 紙類の填料又は塗工用顔料として用いられているカオリナイトによりもたらされていることを示している。データの回帰分析の結果は, 填料用カオリナイトの天然放射能含有量は, 顔料用カオリナイトの天然放射能含有量より高いことを示した。

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