RADIOISOTOPES
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モニタリングポスト型全方向性γ線検出器のエネルギー応答特性
小林 祐介山野 俊也白川 芳幸
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2006 年 55 巻 1 号 p. 13-20

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抄録

モニタリングポストは, 原子力施設における放射線及び放射性物質の漏えい監視のために有用な装置である。この装置は空間線量率 (μSv/h, nGy/h) や計数率 (cpm, cps) のデータを定期的に提供するものである。しかしながら原子力事故の早期の発見, あるいは異常データの的確な解釈にはこれらの情報だけでは満足とはいえない。そこでγ線の飛来する方向を識別する全方向性γ線検出器を開発した。この検出器は, 扇形をしたNaI (Tl) , CsI (Tl) , BGOの3種類のシンチレータと光電子増倍管より構成される。飛来方向によって, それぞれのシンチレータが作る光電ピークの計数が変化することを利用したものである。すでに137Cs (662keV) を用いた実験によって中エネルギー領域における計測原理は実証された。ここでは低エネルギー領域の線源として131I (364keV) , 高エネルギー領域の線源として60Co (1250keV) を考え, 電磁カスケードモンテカルロシミュレーション (EGS) を用いて, 全方向性γ線検出器のエネルギー領域ごとの方向感度の特性を評価した。この結果, 本検出器は広いエネルギー領域においてγ線の飛来方向の計測が可能なことが確認された。現在, 新型モニタリングポストとして商品化開発を進めている。

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© 社団法人 日本アイソトープ協会
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