RADIOISOTOPES
Online ISSN : 1884-4111
Print ISSN : 0033-8303
ISSN-L : 0033-8303
福岡・鹿家地区における水中ラドンによる屋内ラドン濃度への寄与ならびに線量評価
楢崎 幸範石川 徹夫吉永 信治古川 雅英卓 維海床次 眞司石橋 融子松尾 宏
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 55 巻 8 号 p. 457-467

詳細
抄録

福岡県鹿家地区の生活用水中ラドン濃度と住居内ラドン濃度との関係について述べた。生活用水中のラドン濃度は36~130Bq/Lであった。このうち簡易水道水の平均ラドン濃度は43Bq/L, 個人の井戸水では100Bq/Lであった。全ての生活用水中のラドン濃度は, 現在USEPAが提案している最大汚染レベル (Maximum Contaminant Level, MCL) と最大汚染レベルの代替値 (Alternative Maximum Contaminant Level, AMCL) の間にあった。住居内のラドン濃度は4.5~46Bq/m3, 平均値14Bq/m3であった。住居内のラドン濃度に, USEPAの対策レベルを超えた値はなかった。屋外のラドン濃度は2~7.5Bq/m3, 平均値4Bq/m3であった。大気中のラドン濃度はわが国の全国平均値と差がなかった。水中から屋内に揮散したラドン濃度は, 3.6~13Bq/m3と推定され, 浴室内ラドン濃度の増加に寄与したが, 住居内の他の部屋への影響は少なかった。なお, UNSCEAR2000年報告書の線量換算係数を用いて計算したラドンによる年間実効線量は0.44mSv/yと見積もられた。鹿家地区における生活用水中のラドン濃度レベルは公衆に対する付加的な放射線防護上の危険性が少ないことを確認した。

著者関連情報
© 社団法人 日本アイソトープ協会
前の記事 次の記事
feedback
Top