イメージングプレートによる海洋底堆積物コアの精密オートラジオグラフィ

抄録

イメージングプレート (IP) を用いて海洋底堆積物コアの放射線像を得た。IPを用いることで, 生物起源などの比較的低放射能の堆積物からなる海洋底コアであっても, 露光48時間で実用的な放射線像を得ることができる。今回用いたコアにおいては白色堆積層は黒色堆積層に比して高い放射線量を示し, これらの層構造は放射線像計測から明瞭に区分することができる。層構造の検知精度は周囲の線量とのコントラストに強く依存するが, 非放射性堆積物中の火山灰層などの浮遊性粒子堆積層についてはサブミリオーダーで識別できる可能性がある。またα線源となりうる放射性鉱物が表面に露出していればピンポイントでの位置特定も可能である。白色堆積層と黒色堆積層の線量の差異はCT値 (すなわち密度や原子番号) と関係し, これは有機物含有量の差異に起因するものと推定される。
IPによる放射線像計測は, 新たな非破壊コア分析手法の一つとして有効な方法である。