2024 年 28 巻 1 号 p. 144-151
鉄道設備の保守業務省力化は地方鉄道の維持において極めて重要な課題である.特に検査周期が3か月と短い転てつ機は保守業務の中でも多大な人工を要しており,不具合発生性状を把握したうえで適切な周期延伸による省力化が切望されている.本研究では,統計的な不具合発生モデルであるワイブルハザードモデルに着目し,過去の検査記録からモデルを推定する際に課題となる不具合発生時点に関する不完備性を考慮可能なベイズ推定法を構築する.提案手法を実際の転てつ機の検査記録に適用し,統計的な不具合発生間隔や影響因子を分析するとともに,既存手法との比較により検査記録の不完備性を考慮可能な提案手法の有効性を実証的に示す.