2014年度、我々は機能性食材事業のビジネスモデルを「参入障壁」のフレームワークによって整理したことを報告した。適切に他社の参入を抑制することによって、産業生態系における自社優位性を確保するためにクローズド領域を形成するが、しかし、実際には「参入抑制」だけでは事業の成功に結びつきにくい。市場をいかに形成・拡大させるか、つまりオープン領域の形成による「参入促進」もこれまた重要なのである。つまり、自社優位性確保と市場形成を適切に組み合わせることが「オープン&クローズ」戦略となる。今年度の報告では、機能性食材事業を事例として、ビジネスモデルにおける自社優位性確保と市場形成の関係性について新たな整理を試み、それを議論する。