抄録
宇宙開発事業団では宇宙システムの開発において信頼性管理を行うための標準的な要求事項をNASDA-STD-17「信頼性プログラム標準」として定めている.この標準は,宇宙開発事業団のロケット,人工衛星の開発に適用されるとともに,宇宙ステーションの信頼性管理の基礎になっている.信頼性プログラム標準は「信頼性工学」,「試験および信頼性評価」,「信頼性プログラムマネジメント」を三大要素として成り立っている.本稿では,この信頼性プログラム標準に基づく信頼性管理のなかで特に,非修理系である宇宙システムの開発において特徴的と考えられる単一故障点とその対策,そして水平展開による欠陥の除去にスポットをあてて紹介する.前者は,宇宙システム中に存在する信頼性上の要注意点である単一故障点の識別と冗長系採用による最小化,波及故障の防止を紹介した.後者では,宇宙システム中の欠陥を除去するために他の宇宙システムで発生した不具合などを生かす活動を紹介した.