2003 年 25 巻 8 号 p. 748-755
都市ガスの供給が万一途絶した場合の影響はきわめて大きいことから,ガス製造供給ネットワークシステムには極めて高い信頼性・安全性が要求されているが,同時に激しいエネルギー市場競争の中で強いコスト低減要求にも晒されている.こうしたトレード・オフ問題を適切に管理していくこと,すなわちリスクマネジメントが近年の重要課題となっている.東京ガスでは1990年代初頭から三菱重工業と共同で,FTA手法をベースとした「LNG設備信頼性解析システム」の開発に取組んできたが,当初のガス製造工場毎の個別信頼性解析システムから,最近ではガス導管と複数の工場を一体としたネットワーク全体の信頼性解析システムヘとバージョンアップを行っている.システム活用面では,扇島新工場建設プロジェクトでのコスト低減,既設工場の技術的改善,中長期設備計画策定時の意思決定支援等,さまざまな業務で役立てられ成果を上げている.