日本信頼性学会誌 信頼性
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若い技術者にどう安全の責任を教えるか(安全と信頼とリスク : 安全・安心な社会を目指して)
杉本 旭
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2004 年 26 巻 6 号 p. 542-548

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抄録

グローバルな安全規格の展開は,「事故の責任」から「安全の責任」への革新と見ることができる.しかし,わが国では,国際規格ISO12100が規定する「設計のための一般原則」が正しく理解されていない.それは,責任の曖昧さ,特に国際規格の根底にある'State of the art'に対する理解不足のためである.若い時代に安全の教育を受けることが大切である.最近の国際規格を見ても,市場原理による勝者を"標準"とするデファクト規格とは別に,人権の尊重("安全"は重要な要素),地球環境の保全のように,競争以前に,あるいは競争を公正に行なうために守るべき基本ルールを決めようとすることからデジュール規格に重点が置かれている.国際規格の安全体系は,工学・技術者の誰もが心得ていなければならない彼らの倫理的責任に関するグローバルな申し合わせ(デジュール規格)である.本稿では,若い技術者や工学系学生に対して安全を教育することの重要性と,「安全の責任」の正しい見方からの教育が必要であること等について述べる.

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© 2004 日本信頼性学会
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