日本信頼性学会誌 信頼性
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安全に係わる個人要因と組織要因(人間と信頼性)
谷井 克則
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2004 年 26 巻 7 号 p. 636-643

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抄録

過去に起きた産業事故を振り返ってみて,産業事故はなぜ無くならないのであろうかと思う.今年も死者を出した自動回転ドア事件および美浜原発事故が社会に衝撃を与えた.これら2つの事故は報道で示されたように,設計ミスおよび安全管理ミスによるものであり,会社側に責任があることは明白である.しかしながら国内の産業事故に限って言えば,直接の担当者に事故責任を求めるケースが多いのではないだろうか.過去に起きた事故の報告書や報道は,作業員の判断ミスおよびオペレータの操作ミスが大事故に直接つながるものであったとしても,そのミスの背後に管理者の不安全行動の見過しおよびマンマシンインタフェースの設計上の欠陥があったことを指摘していることが多い.この指摘がなぜ教訓として生かされないのであろうか.本稿では過去10年間に起こった産業事故とその発生経緯を示す中で,緊急事態における人間の心理・行動特性と操作ミスおよび組織事故防止に関する最近の研究の紹介と共に,「安全」と人間の信頼性について述べることにする.

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© 2004 日本信頼性学会
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