2004 年 26 巻 7 号 p. 654-663
信頼性の意味を使い手と作り手の立場から考察する.使い手にとって信頼性は問題が生じて初めて意識できるものであり,積極的に要求として掲げることは少ない.作り手自身が当然考えて保証するものであるとの意識である.これは,製品保証書等の作り手からのシグナリングを考えれば理解できる.したがって,主体的な役割を果たすことが期待されるのは作り手である."故障なきこと"の意味を明確に定義し,なきことを検証し作り込んでいく地道な取り組みが必要になる.市場で発生するあるいは発見される品質問題はほとんどが信頼性の問題であり,最近の環境と安全に対する要求の高まりとともに,usabilityを含む信頼性保証への積極的な取り組みがより一層重要になっている.